わしは辛い。
『天皇論』文庫版のゲラチェックを秘書・岸端がしてるのだが、
今のわしの考えとの違いを次々見つけて電話してくる。
あれを描いてるときよりも、今の方が考えの方が深くなっている。
仕方がない。
あれは天皇について全く知らなかったわしが挑戦した本なのだから。
基本的な教養は詰め込んでいる。
だが、今見直せば、まだ未熟な個所が散見される。
それを岸端がいちいち見つけてくるから、
めんどくさくてしょうがない。
修正するのは前後の脈絡があるから、ものすごく難しい。
だがこの文庫版で、まったく新たな読者が入って来るかもしれない
のだから、完璧な本にしなければならない。
だがわしは今、ものすごく焦っているのだ。
わしは今週いっぱいが『ゴー宣Special』のコンテの山場だ。
最終章まで、絶対に今週中にやらねばならない。
しかも最終章だから全身全霊で魂を込めなければならない。
他のことは考えたくない。
どこかでカンヅメして、外界からの情報を遮断したいくらいだ。
洞窟に籠もって描きたいくらいだ。
岸端は、そして時浦も、もう天皇の知識はわしと変わらないか、
わし以上に正確である。
だからわしの「修正してくれ」というひとことで、
あとは自主的に修正してほしい。
わしにやらせないでほしい。
岸端の文章のセンスと、時浦の知識には、全幅の信頼を置いている。
だから自信を持って、自分の思いつく方法で、自由にのびのびと
修正してもらっていい。
頼むぞ、みなぼん!




















